平成29年(2017年)新年のご挨拶

新年明けましておめでとうございます。2017年の年頭に当たり、謹んで新年のお慶びを申し上げます。本年もどうぞ宜しくお願い致します。
昨年後半は9月末に高崎で4年に一度の国際大会が開かれたほか、10月には例年通りの幸徳会合宿、川崎市連盟の演武会、富士通主催の演武会と続き、また、幸徳会内での危機管理マニュアル作成、年末の審査会と立て続けに色々な事をこなす必要がありましたが、皆様のご協力のお陰を持ちまして、滞りなく終えることができました。
皆さんが幸徳会の活動にご理解とその意義を感じて下さり、少しずつでも協力してその運営を支えて下さったおかげだと思っています。本当にありがとうございました。
年末の審査などを受けて、幸徳会の名簿を整理し、人員構成についてホームページを更新しました。幸徳会の中の状況もずいぶんと変わってきたなぁと思いました。そこで、幸徳会をどういう方向に持って行けば良いのかということについて、私なりに少し考えてみましたので、年頭に当たって皆さんと課題と方向性について共有したいと思います。
1.幸徳会としての取組みについて
3年前までは、幸徳会全体として一般部と少年部の比率が7:3くらいで一般部のほうが多かったのですが、現在では、5:5という状況に変わってきています。全体の人数はほぼ変わりませんので、その構成比が大きく変化してきていると言えます。
一般部は、古くから続けておられる方はずっと継続されていますが、比較的新しい方が続きません。最近は、新しい方の入門も全体的に少なくなってきているように思います。ですので、年代構成がそのまま後ろにシフトしている状態となっています。その結果、一般部のほとんどが黒帯になってしまって、初めて入ってくる方には敷居が高くなってしまっていないかと少し考えてしまいます。
15年前が同じような状況でしたが、当時は大人の初心者教室入門者の方が多くいましたので、その方々をうまく取り込んで、この状態を乗り越えてきました。しかし、現在は初心者教室の入門者は子供が中心となってしまっていますので、同じような方策も取れないでしょう。
合気道に限らず日本の50歳代以下の世代のスポーツ人口というのは年々低下傾向だということですので、一般部は当面、厳しい状況が続くと思います。
少年部は、ここ数年、爆発的に入門者数が多く、中学生になるとやめてしまう子が多い中で、それにも増して入門者が多く増加傾向です。年齢別にもまんべんなく人員が構成されています。少年部は人数が多いのですが、常に初心者に合わせた稽古にならざるを得なくなるので、年長者の技のレベルが上がってこないという弊害が出てしまいます。
年長者からしてみると、中学生くらいで低学年の小学生と組まされたら、興味を継続できないでしょうし、一般部に行っても敷居が高すぎて、チャレンジはしてみても続かないということになってしまっているのではないかと感じることがあります。
現在、少年部の小学5年生以上の子供達は名簿上で23名おります。全体の半分弱、この子たちの合気道に対する技術レベルと向上心を高めて、一般部へうまくつなげていけるようなことができないかなぁと思います。いつもいつもやめさせてしまっていることがもったいないと思うようになりました。
今は指導者が2名体制になっていますので、まずは少年部を年少組と年長組に分けて稽古ができるようにならないかと思っています。審査会、演武会のレベルアップにもつながります。これまでは、初心者対策に頭が傾倒していたように思いますが、この子供から大人へ移行する中間層に焦点を当てて、やめてしまう子に歯止めが掛けられるのであれば、一般部にもつながりが出てきます。指導部として検討して行きたいと思います。
一般部は、年長者の方でも怪我をしないで長く続けられる技の有り方、より柔らかい身体の使い方に変えて行くこと、また昨年作りました危機管理マニュアルを生かして、皆で未然に事故を防止したり、万が一事故が発生した場合にもすみやかに誰もが行動できるように実践しき行きたいと思います。中長期的には、初心者を対象とした講座ができないか検討してみたいと思っています。

2.稽古法について
年長者の方でも怪我をしないで長く続けられるようにするために、気の流れ意識した無理のない稽古法について取り組みたいと思います。そのポイントとなるのが「手」の使い方です。「手」の使い方について是非考えて見てほしいと思います。
手は親指で気を起こし、小指側を十分に張り出すようにして、身体中に気がめぐるように使います。親指が起きてこないと腕がまっすぐに伸び切ってしまうため、気をめぐらすように使うことができなくなります。また、親指で気を起すようにしても、そのあとが上腕筋を使うような動きになるとダメです。小指側の側面が張り出して、肘が前に出て行くような動きとなり、手・腕の形が自然と円相を描くようになるのが良い形です。
普通の方は、相手の力に当たると、この上腕筋に力を込めたり、腕を棒にして肩に力に繋げてしまいます。この形をいくらやっても上手くなりません。特にご年配の方だと、見ていて怪我をしないか心配になります。
肘が前に出るようになると、自然と肩の力は抜けてきます。腰からの力を、姿勢をまっすぐにすることで背中を通して、肘につなげ、その力が肘から小指の側面に繋がって行くようにできると、全然これまでと違ってきます。身体の力の使い方が、普通の使い方とは変わってくるのです。
うまくできるようになるには時間が掛かりますが、しかし、この気付きの起点となるのが、やっぱり「手」だと思うんですね。「手」の使い方っていうのはとても大切なんです。稽古を見ていると、ほとんどの人の手はうまく使われているように見えません。
だから、持たれた部分のみが起点となってしまって、指先に気が通っていかないんです。そして、いつも上腕筋や肩に頼るしかない状況に追い込まれてしまいます。とっても悪循環です。早く気付いてほしいと思います。
合気道の稽古は、ただこなすのではなく、自分の課題を見つけて、これを解決するために何らかの方向性を出して試してみるためにあります。自分の頭で考えたことを自分の身体を使って試してみる。その結果を受けてまた考え直して試してみる、この繰り返ししかないんです。そうやって自分と対峙して螺旋上に少しずつ進むしかありえません。
螺旋というのは、横から見ると確実に上に登って行きますが、上から見るとグルグルと回っているだけにしか見えない。でも一旦やってみて戻ったとしても、それは前と同じではないはずです。そうして施行錯誤しながら進むことで、見えなかったもの、気づかなかったものが見えてくるようになってくるんだと思うのです。そうやって自分で一つずつ答えを出して行くことによって、自信も持てるようになって行きますし、何より楽しくなります。
稽古をしているとフッとひらめくこと、気づくことがあります。また、今までも言われていたことかもしれないのに、それまで気にも留めずにいたことがはっきり意味のあるものとしてわかるようになることがあります。これまで考えてもいなかったけれど、稽古でこういうことができた。これを発展させていった方がいいのではないか、と稽古の中から副産物的に生まれてくる発想もあります。
これらは稽古をしているからこそ、自分がある段階になったことでわかるようになったのであって、稽古をしていなければ、いつまで経ってもわからない、気づくことはできなかったのです。だから根底には稽古が無いとダメなんです。頭だけでいくら考えてもダメだし、ただ身体を動かしていてもダメなんです。
探さなくても課題はいくらでもありますよね。しかし、あせらずに1つ1つ課題と向き合って、詰め将棋と同じように稽古を通じて解決して行きましょう。
仕事と違って間違ったって何のリスクもないんです。みんなで考えて行きましょう。そこに合気道の楽しさがあります。


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