平成25年 新年のご挨拶

明けましておめでとうございます。
今年は、一回の稽古を、稽古の中の一手一手を、いままで以上に大切にして稽古して行きたいと思います。そして稽古する相手の方や見ておられる方々に、その空気が伝わるような、そういう稽古に近づけて行きたい思います。

一手一手を大切に取り組むとはどういうこなのかと言うと、技が掛かる前提で取り組むのではなく、技が掛かる手前、つまり、手が触れる前も含めて大切にして取り組むということです。技の掛かる手前の部分を疎かにしてしまうと、技の掛かりが強引になったり、不十分になったりしてしまいます。それなのに、これを繰り返していると、それが当たり前のことと身体に覚え込ませてしまうことはとてもまずいことです。

技を掛ける前段階が不十分であるのに、強引に技を掛けてしまう、これは果たして正しい姿・形なのかということを考えて稽古すること、もっと効果的に技を掛ける手立てはないのかということを常に自分の持てるものを総動員して、いつでも立ち返ってすべてをニュートラルな状態から見つめ直してほしいのです。そうやって、武技・武術性というものを追及して高めて行くことがとても大切で、そういう延長線上に参段・四段というものがあるのだと位置付けていただけないでしょうか。
幸徳会も初段・弐段の方が多くなり、参段・四段と今後増えて来ることと思います。そういう中で、技の形を覚えてきている方々を次の正しい方向に伸ばす必要があります。

具体的には以下の様な点についてです。

 

① 相手の中に入り、気を起こす。(気の流れを作る、生み出す。)
② 相手の動きに合わせて動く。(気の流れを読んで動く。)
③ 相手を崩す位置にまっすぐに入る。(相手との間・位を見直す。)
④ 呼吸力を使って相手を崩す。

 

①相手の中に入るというのは、自分がしっかりと技を掛ける場所に立つということですが、反面、相手からも打たれる間合いの中に入るということです。ですが、相手の間合いに入るからこそ、相手を打つ気を生むことになります。
ただ無防備に入るのではなく、手をうまく活用して、自分も守りながら、②相手の拍子に合わせて入身、もしくは転換できるように、間合いのつめ方と入身、転換がタイミング良くできるように相手との始まりの部分を大切に稽古しましょう。③入身・転換が無理なくできるということは、まっすぐに身体が入っているということです。

 

崩す動作の上に呼吸力を重ねることで相手をうまく崩すことができます。
呼吸力とは、効率的な力の使い方だと思います。見方としては2つの側面があり、1つは、自分の力の使い方を最も効率的に使うためにはどうしたら良いのかという見方、すなわち、より負担のないところで自分の最大限の力を相手
に通す方法ということです。もう1つは、相手の力をいかに出させないようにするかという側面です。

自分は本来10の力を持っているけれど、相手が15の力を持っている場合、力勝負では自分が負けてしまいます。しかし、自分は10の力を出し切り、尚且つ、相手に7の力しか出させなければ、勝つことができますね。
補足しますが、自分は10の力を持っていても、日常生活上では7しか出すことができないと解釈して下さい。これを10の力を出すためにどうするかを稽古を通じて磨くのです。相手に十分な力を出させないようにすることも稽古を通じて鍛錬します。
いくら教えてもらっても、コツなどで直ぐにできるようになるものではありません。なぜなら、日常生活とは少し違う力の使い方だからです。武術的な使い方の鍛錬を重ねてはじめて少しずつ上達して行くのです。
ですから、上体ばかりを使ってぶつかって行くだけの稽古ならば、ふつうの力の使い方ですから、いくらやってもうまくなりません。そういうところにも気づくようになるとずいぶんと物の見方が変わって行きます。

 

ぜひ稽古を通じて今年も皆様の上達の年となり、充実した一年となりますように祈念し、言葉不十分ではありますが、年頭のあいさつとさせていただきます。言葉不十分な部分は、稽古を通じて皆様と一緒に考えて行きたいと思います。
本年も宜しくお願い致します。


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